「受けて立つ意志」
万物に魂が宿るなら、命なきものにも心があるではないか。そんな問いかけも、喧噪の世界を離れて考えれば次第に真実味を帯びてきます。仏師は木から仏像を創り出すのでなく、木の内にある仏を見ながら余分な木を削ぎ落としていくと言われます。切り出された木も、鉱石も岩石も、自然界に存在する素材は、他者に変えられるのでなく、自らの意志で変化していくのです。紙もまた同じこと。古くから人に強いインスピレーションを与え、姿形を変えさせ、文化発展の立て役者となってきました。私たちは、これからも人が予想だにしない強固な意志で、自ら無限の可能性を明らかにしていきます。

     
「灯す心と、伝える心」
たとえば真白い懐紙−。何の変哲もない無地の紙にじっと見入ってしまうことがあります。それは、そのたった一枚の紙が沈黙のうちに多くを語るからでしょう。人はそこに脈々と伝えられてきた日本文化の息吹を感じ、心にほのかな温かさを覚えるかもしれません。その一方で紙は、文字や紙を記され、あるいは印刷物としての役割を託され、情報伝達の素材としても活用されてきました。いにしえの時代から、そのときどきを生きた人々の思いや考え、知識、知恵を後世へと伝え続ける。紙は常に文化の新世界を拓くものに他なりません。
   
 
     
「時代の旋風」
幕末の志士を彷彿させるのは初代金藏。竹問屋から紙問屋へ、思い切った事業展開を図りました。粋なシャッポを頭に、ステッキを持つのは2代目乙五郎。彼のダンディズムは「柿本」の伝統となり、ひたすら粋を求める心は未来を見通 す千里眼となりました。昭和51年(1976)、紙問屋「柿本」はショップ&ショールーム「紙司柿本」をオープンし、一般の人々にも紙の素材を提供するようになりました。その後、次々に展開される柿本の事業発想とオリジナル商品は、紙業界への先進的な提案となります。「紙を通 して文化を創造する」ために、常に未来に向けて確かな足跡を刻んでいます。
   

 
 
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